2026年09月15日

琵琶湖疏水記念館特別展「利百世~北垣国道と田邉朔郎の書画~」の開催について

琵琶湖疏水は、明治期の竣工以来、京都のまちの暮らしや産業を支え続け、明治維新において衰退の危機に瀕した京都のまちの再生と発展を支えた都市基盤施設です。令和7年度には、関連施設の24か所が重要文化財、そのうち5か所が国宝に指定されました。

琵琶湖疏水事業を成功に導いたのは、京都府知事としてリーダーシップを発揮した政治家であった北垣国道第三代京都府知事と近代日本の礎を築いた若き技術者であった田邉朔郎博士です。二人は、公務や研究の合間、引退後の自由な時間に書画を制作し、自身の精神修養に役立てていました。

本特別展では、従来の土木史中心の展示テーマとは違った角度から、文化人としての側面もあった二人の書画作品にスポットを当てて御紹介します。

 

本特別展のタイトル「利百世」とは、古代中国の書籍にある言葉で、「百代先の世の中でも利用できるように」という意味です。関西電力旧高津尾発電所の建設に際して、田邉朔郎博士が扁額の題字として贈りました。

 

【開催期間】令和8年9月15日(火)~12月20日(日)

休館日:月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は翌平日)

開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで) 

 

★ギャラリートーク及び蹴上インクラインドラム工場見学会を開催します!!

当館学芸員によるギャラリートーク及び蹴上インクラインドラム工場見学会を以下の日程で実施します。当日は、開始時間前に館内2階ホール前にお越しください。

実施日:令和8年9月21日(月・祝)、10月9日(金)、11月3日(火・祝)、11月22日(日) 

時間:午後2時~午後3時(1時間程度)

定員:20名程度(※先着順)

対象者:どなたでも参加可能

 

【主な展示資料】

・「意気如雲(いきくものごとし)」

北垣国道第三代京都府知事が田邉朔郎博士に贈った書です。「意気」は意気込みや元気を、「如雲」は雲が湧き出るように盛んな様子を示し、これらを結び付けた「意気如雲」は吉語として書道の題材にもされてきました。

本書には「楽百年之夢(百年の夢を楽しむ)」という落款が捺されており、琵琶湖疏水がもたらす未来の京都に思いを馳せつつ、「意気」を高め、「如雲」の勢いをもって、なんとしても大事業を完成させようという強い思いが込められています。

 

・旧高津尾発電所トンネル 扁額「利百世」

現在も発電所施設のトンネル洞門に扁額が残されています。琵琶湖疏水にも通じる言葉で、わが国の近代土木工学の第一人者である田邉博士ならではといえるでしょう。

 

・「英国王子を歓迎する」

英国ヴィクトリア女王の孫アルバート・ヴィクター(クラレンス公)とジョージ(後のジョージ5世)が京都に来訪したときに、北垣知事が歓迎の意をよんだもので、「京都を王子たちが訪れてくれたことを人々は厚く歓迎しており、2つの国は海や山で隔たれてはいるが、両国の親交が永く続くことを願う」という思いが詠われています。王子たちは、東寺や伏見稲荷などを見学し、宇治では北垣知事と昼食を共にしました。

 

・「斎宮女御(さいぐうにょうご)」

田邉朔郎博士の絵画です。円山四条派の作風にならって、写実性と親しみやすさが感じられます。